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或る夜のニット帽

大学進学を期に上京してもうかれこれ8年。
今では当たり前のように寄る街、渋谷。
スクランブル交差点で人はぶつからないとか、ハチ公って銅像があるとか、それくらいの情報しかなかった街。
どちらかと言えば嫌いな街。
ごちゃごちゃしてるし、うるさいし。
用なきゃまず近寄らない街。
みなさんどうですか?
そんな街で出くわしたニット帽似合う、無骨な監督 金 允洙。(敬称略)
大学の先輩という事実。
彼が新作撮るから出てよってことで出た映画『或る夜の電車』。
出来上がり観てざわざわざわ。
いつも見ている街が、いつも以上に静かにうるさく暴れてて。
そっか、彼に見えてるこの街はこれなんだ。
スクリーンに映し出されるこの街は自分が見ている街とはどこか離れてて。
彼に見えてるこの街は、わりかし嫌いじゃない。
今回の上映、渋谷の映画館でさ。
見終わったあとに外出たら否が応でもそこは渋谷。
いや〜、最高に心地よく心かき乱されんだろうな〜。
齋藤隆文